【研究目的/意義】
2003年に実施した「家庭血圧コントロール状況に関する全国調査研究(J-HOME研究: The Japan Home vs. Office blood pressure Measurement Evaluation study)」では、家庭血圧コントロール状況に関して、貴重なデータが得られました(Ohkubo T. et al.: Hypertens Res 2004; 27:755-763. Ohkubo T. et al.: Ther Res 2003; 24(9):1849-1855.) 。また、朝方の家庭血圧コントロール不良は、臓器障害に悪影響を及ぼすことも報告されています。しかし、高血圧患者さんの臓器保護のために、家庭血圧をどのようにコントロールすればよいのかにつながるデータは、十分に集積されたとはいえないのが現状です。
J-HOME追跡研究は、家庭血圧のコントロール状況と合併症発症・臓器障害進展・転帰を3年間にわたって追跡調査します。本調査研究で、家庭血圧の適切なコントロールが高血圧患者さんの予後に与える影響を検討することにより、家庭血圧コントロールと、とりわけ早朝の家庭血圧コントロールの意義が明確になると期待されます。
【研究主幹】
東北大学大学院臨床薬学 教授 今井 潤
【研究参加医師】
全国の診療所、クリニックにおいて高血圧治療を行っている実地臨床医家
【調査対象】(以下の@〜Bまでの条件をすべて満たす患者さん)
@現在、降圧薬による治療を受けており、家庭血圧を測定可能な本態性高血圧患者さん(性別・年齢は問いません)
A第1次調査および第2次調査時、それまでに日常診療で行った検査データのうち、血清クレアチニン、総コレステロール、
尿酸、心電図の検査データを報告することが可能な患者さん(すべてが必須ではありません)
B降圧薬投与による他の介入試験に参加していない患者さん
【目標症例数】
各参加医師において5症例以内(可能な限り5症例)
【調査実施期間および内容(予定)】
第1次調査(2004年10月〜2005年8月頃)
1.患者さんの家庭血圧コントロール状況、および降圧薬による治療状況を把握するために実施します
(過去1年以内に記録した既存のデータも記入も可)。
2.第1次調査時に、朝の家庭血圧収縮期血圧が135mmHg以上の患者さんについては、積極的な早朝高血圧治療の実施に
ご協力いただきます。
3.第1次調査の締め切りは2005年8月頃を予定しています。
第2次調査(2006年秋以降予定)
第1次調査終了からおよそ1年6ヵ月後に、事務局から本調査研究参加の先生方(以下、主治医)に第2次調査票をお送りします。
患者さんに再び5〜14日間の家庭血圧を測定していただき、主治医の記入した調査票と合わせて、事務局にお送りいただきます。
第1次調査結果との比較により、家庭血圧コントロール状況と合併症発症・臓器障害進展・転帰との関連を分析します。
第3次調査(2007年頃予定)
第2次調査終了後に、実施時期および項目を決定します。(第1次調査の3年後を予定)。
【研究結果】
調査結果は、東北大学において集計・解析し、学会での発表、論文化を行います。
【倫理的側面】
本研究の調査方法は、東北大学医学部倫理委員会により承認されています。
本研究は観察研究であり、治療方法、使用する降圧薬の選択等は、すべて主治医の判断に任せられます。また、採血等の検査は、 すべて保険診療の適応内の日常診療で行うものを報告していただきます。従って、本研究に参加することによる通常の診療以上
の医療費負担はなく、診療内容は日常診療となんら異なるものではありません。
【個人情報の保護】
本研究で得られた記録票は、厳重に管理され、データの管理を行うJ-HOME追跡研究事務局ならびにデータ解析を行う東北大学大学院臨床薬学教室、および医薬開発構想寄附講座の担当者以外の目に触れることは一切ありません。また、本研究で調査される対象の患者さんおよび調査票は、全てランダムに割振られた認識番号により管理され、主治医以外が患者さん個人を特定することはできません。したがって、結果の発表等に際しては、個人情報が公表されることは一切ありません。